The day I finally understood Halo Benders, 30 years later
Halo Bendersを30年越しに理解した記念日
最大限、良いと思おうとしたけどダメだった。。
1996年、当時、私は高校3年生で、ちょうど「USインディーレーベル」という存在が、アメリカ本国からはるか遠い日本のこの北国、私の住む札幌まで伝わってきた頃でした。また、その頃は、一時的なローファイブームだったこともあり、確かクロスビートのレビューページで勧められていた、このHalo Benders のセカンドアルバム「Don’t Tell Me Now」を、私は決して多くない所持金をはたいて、タワーレコードで買いました。しかし、その期待に反して、心の底から買ったことを後悔したのを今でも覚えています。。

Beat HappeningのCalvin JohnsonとBuilt to SpillのDoug Marshのユニットという触れ込みで過剰な期待を持って聞いてしまったのも良くなかったのかもしれませんが、Calvin Johnsonのあまりに低く間の抜けた(お経のような!?)声と、Doug Marshの異常にハイトーンで浮遊感のある声。ゆるいグルーヴと、あまりに不揃いな二人の歌声。当時の私には、これが「良い」のかどうか判断がつきませんでした。いや最大限に良いと思おうとしたけど思えませんでした。しかし、その時に受けた「衝撃」だけは今でもはっきりと覚えています。
halo benders capitol theater mainstage 1995 Halo Bender
当時のアメリカ・メディアの評価は?
最近、当時のアメリカのメディアはHalo bendersをどのように評していたのか気になって、いくつかの記事を探してみました。やはり、この「衝撃」を受けたのは私だけではなかったようです。1994年の『SPIN』誌で、Gail O’Haraはこう書いています:
“The Halo Benders, God Don’t Make No Junk (K). Call me hyperbolic, but one of the glaring highlights of the century thus far pour moi has been madly shaking my bum to this dreamy band, featuring Beat Happening guy Calvin Johnson and keyboarder Steve Fisk along with a bunch of ratty Idaho punks known as Built to Spill, doing their fabulous hit song “Don’t Touch My Bikini” at the superfun YoYo a Go-Go independent music festival in lovely Olympia, Washington, in July. I haven’t danced like that since I first heard Martha and the Muffins.”
「誇張だと言われてもいい、でも今世紀最大のハイライトのひとつは、このドリーミーなバンドに合わせて狂ったようにおしりを振って踊ったことだった。Beat HappeningのCalvin JohnsonとキーボーディストのSteve Fisk、そしてIdahoのボロボロなパンクス集団Built to Spillが、7月にオリンピアで開催されたYoYo a Go-Go independent music festivalで『Don’t Touch My Bikini』を演奏した時のこと。Martha and the Muffinsを初めて聴いた時以来、あんな風に踊ったことはなかった」
The Halo Benders – “Don’t Touch My Bikini”
この奇跡のミスマッチはなぜ生まれたのか!
そこで気になるのは、どのような経緯でこのあまりにも不揃いすぎるハーモニーが生まれるに至ったのか、同時期の『SPIN』誌の”Built to Last”という別記事で少し触れられているのを見つけました。
Doug MartschはBoiseを拠点に、毎回異なるメンバーでBuilt to Spillを編成していました。その一環として、「Boiseのサイケデリシスト集団Caustic ResinとBeat Happening/K recordsの総帥Calvin Johnsonとのバブルパンク・コラボレーション」であるHalo Bendersが生まれたということです。
The Halo Benders 2-24-96 Seattle, WA – Cellophane Square
ロックンロールは全ての年齢のティーンエイジャーのスポーツ
もう一つ、1996年の『SPIN』誌で、Mike McGonigleはアルバム『Don’t Tell Me Now』をレビューしています。
“I know the secret: Rock’n’roll is a teenage sport, meant to be played by teenagers of all ages—they could be 15, 25, or 35. It all boils down to whether they’ve got the love in their hearts, that beautiful teenage spirit.On the letters page of the November 1979 New York Rocker, Calvin Johnson manifested the groovy, simplistic philosophy that for close to two decades has propelled his label K records, stalwarts of primitivism, and fuels the bands he’s been in—Beat Happening, Dub Narcotic Sound System, and now the Halo Benders.”
「” ロックンロールの秘密を知っている。それは全ての年齢のティーンエイジャーによってプレイされるべきスポーツだ。15歳だろうが、25歳だろうが、35歳だろうが。すべては、彼らの心に愛があるか、あの美しいティーンエイジ精神があるかどうかにかかっている”
1979年11月のNew Yorkerの投書欄で、Calvin Johnsonはこのグルーヴィーでシンプルな哲学を表明していた。その哲学は20年近く、彼のレーベルK recordsを推進し、プリミティヴィズムの砦として、Beat Happening、Dub Narcotic Sound System、そして今はHalo Bendersに燃料を供給している。Halo Bendersは本物のNorthwestインディーロック・スーパーグループだ。」
永遠の思春期への憧れ
また、McGonigleは、このコラボレーションの「不可能さ」を指摘します。
“Thank God no other band’s ever attempted to sound like ‘Crankenstein,’ a song with a marimba/organ-driven sound propelled to levels of muppet hysteria by a deep-throated, annoying voice literally giving shout-outs to various diseases. Still, with Martsch’s pubescent-sounding high-register wrapping itself around Johnson’s dark monotone, and songs alternating between distorto-rage, stop-start guitar-driven pop craziness, and moody porch strummers, even the losing experiments here possess a charm—the longing for an eternal adolescence.”
「『Crankenstein』のようなサウンドを試みたバンド他にはいなかった。マリンバとオルガンに駆動され、低く不快な声がさまざまな病気に文字通りシャウトアウトすることで、マペットのようなヒステリーのレベルに押し上げられるサウンド。それでも、Martschの思春期のようなハイレジスターの声がJohnsonの暗いモノトーンに絡みつき、歪んだレイジ、ストップ・スタートのギター駆動のポップな狂気、そしてムーディーなポーチ・ストラマーの間を行き来する曲たちは、失敗した実験にさえ魅力を持たせている。それは永遠の思春期への憧れだ!」
On a Tip – the Halo Benders at the Capitol Theater 94
30年越しで起きた“理解の反転”
あれから30年。47歳のある夜、妻とお酒を飲みながら、ふと聴き直してみたHalo Benders、なんだこの心地よいグルーブに飾りのないリアルなサウンドは!めちゃくちゃ良い。最高すぎるし素敵すぎる。純粋さと不完全さをありのまま堂々と、なんのためらいもなく、しかも押し付けることもなく、ただ、自分たちが楽しいからやってますというような。そう、これが本当のインディーサウンドだ!と心から良いと感じました。
もちろんBuilt to Spillは大好きですし、Calvin Johnsonもダブナルコなどではとてもクールに思っていました。しかし最後までこのHalo Bendersだけは、このミスマッチのハーモニーだけは理解ができていなかった。それがついに30年経過して理解するを通り越して心酔する日が来るとは。。
もしかするとこの日私たちがHalo Bendersを心から良いと思えたのは、私たちがこの年齢になるにつれ、先ほど触れたCalvin Johnsonのいう”ロックンロールの秘密 – ロックンロールは全ての年齢のティーンエイジャーによってプレイされるべきスポーツだ”を、様々な経験を通じて自然と理解していた、ということなのかもしれません。
そう、私も妻も40代のティーンエイジャーなのです!
参考資料
- SPIN Magazine, 1994 – Gail O’Hara review
- SPIN Magazine, November 1996 – Mike McGonigle review of “Don’t Tell Me Now”
- SPIN Magazine – “Built to Last: Meet the Northwest’s new breed of guitar heroes, Boise’s Built to Spill”
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